風邪

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風邪とは、急性のウイルス性の上気道の感染症で、特に何も薬を飲まなくても自然と治るのが特徴です。典型的な風邪症状は、最初に喉のイガイガ感などから始まり、寒気、発熱、頭痛などを伴いながら、喉の痛み、鼻水、咳などの上気道症状、いわゆる風邪症状が出現します。ピークを超えると、鼻水、咳、痰、などの症状が続きながら段々と自然と治っていきます。

【風邪の診断】

風邪の診断は症状からの臨床診断かつ除外診断です。上記のような典型的な風邪症状を認める場合、風邪と診断します。風邪症状を引き起こすウイルスは、世の中に100種類以上存在すると言われていますが、風邪の原因のウイルスを特定することは出来ませんし、特に特効薬がある訳ではないので特定することに意味がありません。治療法が変わってくるため、扁桃腺炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎、インフルエンザ、花粉症などのアレルギー性鼻炎、喘息や咳喘息などでないことを診察や適宜検査でチェックしますが、現実的には明らかに風邪症状の場合は風邪と診断して診療を進めていくことがほとんどです。

【風邪の治療】

風邪の特効薬はありません。風邪の原因はウイルス感染症で、ウイルスに有効な薬はないからです。風邪の治療の基本は、十分な休養、睡眠、水分、栄養の摂取、必要に応じて辛い症状に対する対症療法です。風邪は何も飲まなくても自然と治るのが特徴なので、これを絶対を飲まなければいけないという薬はありません。医師の数だけ風邪の処方、治療方針があると言っても過言ではありません。以下私がよく使うものを列挙しました。

・葛根湯、風邪の引き始めに昔から使います。上半身の血流改善が主な作用です。

・カロナール(アセトアミノフェン)、ロキソニン(ロキソプロフェン)、解熱鎮痛薬です。痛みや熱で辛い時に適宜使います。熱や痛みが特に辛くなければ無理に飲まなくても構いません。

・トランサミン(トラネキサム酸)、メジコン(デキストロメトルファン)、ザイザル(レボセチリジン)、ムコダイン(カルボシステイン)、ムコソルバン(アンブロキソール)、など。咳、喉の腫れ、鼻水、痰に対して、それぞれ咳止め、消炎剤、鼻水止め、痰切りを適宜使います。鼻水や咳や痰が絡むということは風邪はもう治りかけに近い段階なので、特に薬を飲まなくても構いません。

・PL顆粒、総合感冒薬です。消炎、解熱、鼻水止め、眠気防止の4種類の成分が入っています。一つでだいたいの風邪症状をカバー出来て便利っちゃ便利です。市販の風邪薬もだいたいこれと似たような成分を組み合わせた配合剤です。トローチやうがい薬を適宜使います。

・桔梗湯、麻黄湯、麻黄附子細辛湯、麻杏甘石湯、補中益気湯、風邪には色々な漢方があります。体力や相性を見ながら使います。

風邪の治療薬はこれを飲まないと絶対に治らないという処方薬はないので、こうしなければいけないという処方はありません。私は風邪ぐらいでは薬は何も飲まない、というのも何の問題もない立派な治療法です。合わない薬、お好みの処方があれば主治医に伝えてみてください。風邪は自然と治るものなので、私は患者さんの辛い症状が和らげばそれでおっけーと考えています。妊娠中や授乳中は安全に使える薬が限られるので、必ず主治医に伝えましょう。

全ての薬には副作用がありますが、主治医はデメリット、メリットを総合的に考えて一人ひとりに最適な薬を処方しています。心配なことがあれば何なりと主治医またはかかりつけ薬局の薬剤師さんまでご相談ください。


【風邪に抗菌薬は無効という話】

風邪に抗菌薬は無効であることは最近は理解している患者さんが増えて来ているように感じます。今も昔も風邪に抗菌薬は無効です。理由は、風邪はウイルス感染症で、抗菌薬はウイルスには効かないから、です。ですので、風邪に抗菌薬を出す医者はヤブ医者なのですが、実際には風邪症状に対して抗菌薬が処方されていることはしばしば目撃します。どうしてかというと、抗菌薬が有効な細菌感染症の初期はしばしば風邪と見分けが付かないことが少なくなく、「最初はただの風邪にみえたが、のちに扁桃腺炎や肺炎と言った細菌感染症であることがわかった」「重症化した」「治療が遅れてしまった」などの経験は医師であれば誰でもあるはずで、抗菌薬を風邪症状に対して処方するのは本当は望ましくないと知りつつも、それでもそのような可能性を少しでも起こしたくないために「念のため」に抗菌薬を処方してしまっている医師は一定数いることでしょう。日本では昔、細菌感染症が多くそれで多くの人が命を落とした時代もあったので、抗菌薬は熱が出た時にすぐに効くというイメージを持たれてしまったのかも知れません。「病院で抗生物質をもらって来なさい」と親世代の人に言われた、小児科などでは処方箋に抗菌薬が出ていないと再度診察室に入り「抗生物質を出してもらわないと病院に来た意味がない」と抗菌薬の処方を強要する保護者も一部いるのも事実ですが、最近は抗菌薬は必要な時にしか飲まない、風邪で抗菌薬を飲むのは望ましくない、風邪薬は全て症状を和らげる対症療法で、ウイルス感染症で有効な薬はない、としっかりと理解している患者さんも増えて来ている印象です。医師は常に抗菌薬が必要かどうかを常に考えながら診察をしています。抗菌薬が必要な場合とは、ズバリ「細菌性の感染症」の場合です。具体的には、細菌性の扁桃腺炎、細菌性の副鼻腔炎、細菌性の気管支炎、細菌性の肺炎、細菌性の尿路感染症、など必ず細菌性の感染症の場合です。逆に、医師のほうから抗菌薬が必要だと言った場合は本当に抗菌薬が必要な場合が多いです。問題は、ウイルス感染症か細菌感染症かを100%の精度で見分ける検査法も診察法もないことですが、症状が変わった場合、症状が改善しない場合にすぐにもう一度診察を受けるということが大切です。扁桃腺炎、副鼻腔炎、膀胱炎などは繰り返しなりやすい方も多く、その場合は問診票や診察時に主治医にその旨を伝えましょう。風邪も細菌感染症も病状の経過が非常に大切な情報なので、いつからどういった症状で、薬を飲んでいればどのような薬を飲んだか、検査をしていればどのような検査をしたか、お薬手帳など確認出来るものを伝えましょう。抗菌薬は薬剤アレルギーだけではなく、その人にとって効きにくいもの、全く効かないものなど個人差がありますので、今までで効かなかった抗菌薬があればそれも伝えましょう。いずれにせよ、信頼出来るかかりつけ医を見付けましょう。


 

 

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