動悸

【動悸とは】

動悸とは、胸部に感じる様々な異常感覚の総称です。一瞬脈が飛んだように感じるもの、常にドキドキ脈が早く感じるもの、突然始まって突然終わるもの、脈がゆっくりで失神や目眩を起こすもの、突然死の原因になるもの、安静時に心臓の鼓動を自覚しているだけのもの、まで幅広い自覚症状の総称です。循環器科としては、循環器疾患、特に致死的疾患を否定することが目標になります。

【動悸の原因】

動悸症状を引き起こす原因は多岐に渡ります。動悸と不整脈は別物で、動悸は症状の呼び方であるのに対して、不整脈は脈に異常があるかどうかの診断名です。脈に明らかに異常を認めるものが不整脈で、脈に明らかに異常を認めないけれど動悸症状を引き起こすものは様々なものがあります。具体的には下記に詳しくまとめました。

・不整脈(心室期外収縮、上室期外収縮、洞性頻脈、洞性徐脈、発作性上室性頻拍、発作性心房細動、洞不全症候群、房室ブロック、心室頻拍、心室細動、他)

・不整脈以外の循環器疾患(心不全、狭心症、心筋梗塞、心筋炎、心筋症、弁膜症、他)

・呼吸器疾患(気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺塞栓症、他)

・内分泌疾患(甲状腺機能異常、副腎機能異常、低血糖症、他)

・その他(貧血、低血圧症、更年期障害、発熱、呼吸性変動、他)

・薬剤性(カフェイン、煙草、アルコール、他)

・ストレス性(不安神経症、過換気症候群、パニック障害、他)

・その他、原因不明、上記にいずれも明らかな異常を認めないもの

以上、動悸の原因は多岐に渡ります。主に循環器疾患によるものと、そうでないもの、の二つに分けることが出来ます。循環器疾患によるものは、さらに、不整脈によるものと、不整脈以外の循環器疾患の病気によるものとに分けることが出来ます。循環器系以外で多いものは、甲状腺機能異常、貧血、低血圧症、カフェイン、煙草、アルコール等の影響などが多いです。中には明らかに原因を特定出来ないものも多いですが、循環器科の役割としては、循環器疾患、特に致死的疾患を否定することが目標になります。循環器疾患、不整脈について詳しくは国立循環器病研究センターのページをご覧ください。

http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph71.html

【循環器科の役割】

循環器科の役割は、動悸の原因として循環器疾患、特に致死的疾患を精査することです。具体的には、主に動悸の原因として、循環器疾患によるものがどうか、特に不整脈によるものかどうか、不整脈によるものの場合は、精密検査や治療を要するものか、経過観察で良いものかどうか、を調べて行きます。不整脈とは脈の異常を認めるものの総称です。目標は、症状出現時の脈の波形を記録することです。心電図検査、ホルター心電図検査にて、症状出現時の脈の波形を記録出来れば確かな診断が可能です。逆に症状出現時の脈がわからないと、症状から脈の様子をある程度推測することは出来ますが、厳密な意味で確かな診断は困難で、推測にとどまってしまいます。胸部レントゲン、採血等にて動悸を引き起こす他の疾患の可能性を調べます。循環器科では循環器疾患、特に致死的疾患を否定することが目標です。循環器疾患が否定出来た場合、適切な診療科へ紹介します。

・心電図検査

・ホルター心電図検査

・胸部レントゲン

・採血(甲状腺機能、貧血、心機能、他)

・心エコー、心臓MRI、心臓CT、他

・循環器疾患が否定出来た場合、他の適切な診療科へ紹介

【ホルター心電図検査とは】

ホルター心電図検査(Holter Electrocardiography: Holter ECG)は、外来で出来る不整脈の最も詳しい検査です。私たちの心臓は一日約10万回、脈を打っています。24時間全ての脈を記録して、異常がないかどうかを詳しく調べます。動悸や失神、目眩の症状の場合、まず第一に、症状の原因として心臓に異常があるかどうか、不整脈かそうでないか、が重要です。また不整脈を疑う症状であっても、発作的に症状が出たり出なかったりする場合、発作時の心電図波形の記録が確定診断のために極めて重要です。詳しくはホルター心電図検査のページをご覧ください。

ホルター心電図検査→https://ochanai.com/holterelectrocardiography


下記、精密検査や治療が必要なもの、と、直接命に関わらないもの、経過観察で問題ないもの、と、大まかに整理しましたので、ご覧ください。不整脈とは脈の異常を認めるものの総称です。不整脈の中でも、精密検査や治療が必要なものから、直接命には関わらないもの、経過観察で問題のないものまで多岐に渡ります。具体的には、発作性上室性頻拍、発作性心房細動、洞不全症候群、房室ブロック、心室頻拍、心室細動等は、多くの場合精密検査や治療が必要であるのに対して、心室期外収縮、上室期外収縮、洞性頻脈、洞性徐脈等は多くの場合、直接命に関わることはなく、基本的に経過観察または対症療法になります。下記に具体的にまとめましたのでご覧ください。

精密検査や治療な必要なもの:

・不整脈(発作性上室性頻拍、発作性心房細動、洞不全症候群、房室ブロック、心室頻拍、心室細動、他)

・不整脈以外の循環器疾患(心不全、狭心症、心筋梗塞、心筋炎、心筋症、弁膜症、他)

・呼吸器疾患(気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺塞栓症、他)

・内分泌疾患(甲状腺機能異常、副腎機能異常、低血糖症、他)

・その他(貧血、他)

直接命に関わらないもの、経過観察で問題ないもの:

・不整脈(心室期外収縮、上室期外収縮、洞性頻脈、洞性徐脈、他)

・その他(低血圧症、更年期障害、発熱、呼吸性変動、他)

・薬剤性(カフェイン、煙草、アルコール、他)

・ストレス性(不安神経症、過換気症候群、パニック障害、他)

勿論、一人ひとりによって症状は違いますので、病名だけで断定は出来ませんが、動悸症状を引き起こすものの中には、精密検査や治療が必要なものから、と、直接命に関わらないもの、経過観察で問題ないものまで、非常に幅広いということが伝われば必要十分です。主治医までご相談ください。


 

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