インフルエンザ

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【インフルエンザとは】

インフルエンザとはインフルエンザウイルス(Influenza Virus)による感染症です。毎年冬場に流行し、高熱、寒気、関節痛、筋肉痛、頭痛、全身倦怠感などの強い全身症状が特徴です。普通の風邪との違いは、インフルエンザにはインフルエンザ治療薬があること、学校保健安全法で出席停止期間が定められていること、インフルエンザワクチンの予防接種によって事前に重症化を予防可能であることです。

【インフルエンザの診断】

インフルエンザの診断は接触歴と症状の二つによる臨床診断です。インフルエンザの潜伏期間は1日~3日と言われていますので、インフルエンザ流行シーズンでインフルエンザ感染者または感染が疑わしい人と接触したことがあり、インフルエンザに特徴的な臨床症状、急な高熱、寒気、全身倦怠感、関節痛などが認められる場合、臨床的にインフルエンザと診断し、治療を進めて行きます。後述のインフルエンザ簡易検査というものがあるので、適宜必要に応じて診断の補助ツールとして使います。インフルエンザ症状を引き起こすインフルエンザウイルスにはA型とB型とがあり、A型のほうが急に流行しやすい、高熱になりやすい、B型のほうがそこまで高熱になりにくい、流行のピークがハッキリしないなどの若干の傾向がありますが、基本的に予防法も治療法も同じですので大きな違いはありません。A型とB型と大きく二つの型があること、さらにそれぞれに亜型といって何種類かの微妙に違う複数のインフルエンザウイルスが毎年流行することが普通なので、一つのシーズンの間に複数回インフルエンザに掛かることは珍しくありません。

【インフルエンザ簡易検査の仕組みと限界】

インフルエンザ診断の補助として、インフルエンザ簡易検査がありますが、あくまで診断の補助ツールであり、特に発症早期の簡易検査の精度には限界があることを知っておくことは大切です。「高熱が出てすぐに病院に行ったけど検査が早いとまだ検査は正確に出ないかも知れないと言われた」「熱が出てすぐに病院に行って検査したらインフルエンザ陰性と言われ、翌日まだ高熱が続きもう一回別の病院に行って検査をしたらインフルエンザ陽性だった」「職場でインフルエンザが流行っているのでインフルエンザではないという診断書をもらってくるように職場から言われたが、検査が陰性でもインフルエンザではないと証明は出来ないと説明された」などと言った話を聞いたことがあるかも知れません。これはどういう理由かと言うと、インフルエンザ簡易検査の仕組みとしてインフルエンザウイルスに対する抗原抗体反応を利用しているため、発症早期の時期の場合などウイルスの量が十分でないと、インフルエンザに本当は感染していても検査結果が正確に陽性と出ないこと、間違って陰性と出てしまうことが無視出来ないくらいに多いからです。

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色々な報告やお茶の水内科での今までの診療の経験を総合すると、だいたい経験的なイメージとして、インフルエンザの症状が出現してからのインフルエンザ簡易検査の精度は、発症6時間以内では10-20%程度、発症12時間以内で40-60%程度、発症18時間以内で60-70%程度、発症24時間後でやっと90%以上といったイメージです。ですので、発症後早期であればあるほど、簡易検査の結果が陰性だからと言ってインフルエンザでないという証明が出来ません。特に発症前、発熱も何も症状がない時期は当然陰性と出るだけなので検査をしても特に意味がありません。じゃあなんで検査をする意味はあるの?と思われるかも知れませんが、簡易検査の結果が陽性の場合にはその時点でインフルエンザであると診断出来るからです。こういったインフルエンザ簡易検査の特性と限界のことを、正確な医学用語で、インフルエンザ簡易検査は「感度が十分でない」「偽陰性が多い」、一方で「偽陽性は少ない」「特異度は十分に高い」などと表現します。いずれにせよ、発症早期のインフルエンザ簡易検査の精度には限界があるということを知っておくことは大切です。その場合は接触状況と臨床症状の二つから臨床的に診断、治療していく必要があります。

【お茶の水内科の診療方針】

お茶の水内科では、インフルエンザ流行シーズンでインフルエンザ感染者または感染が疑わしい人と接触したことがあり、かつ、インフルエンザに特徴的な臨床症状、急な高熱、寒気、全身倦怠感、関節痛が認められる場合、インフルエンザと臨床的に診断し、治療を進めて行きます。診断の補助として簡易検査をして、結果陽性が出ればインフルエンザであることは確定です。逆に「インフルエンザではない」という診断は、インフルエンザ簡易検査の感度が100%でない以上、厳密には誰にも出来ないのですが、現実的には発症から24時間以降経過しておりインフルエンザ簡易検査が陰性で、症状からもインフルエンザ以外の可能性が高い場合、インフルエンザでないと臨床的に診断します。以上、お茶の水内科の診療方針で今まで大きな問題は全く起きていません。「インフルエンザ簡易検査の結果が陰性だったのでインフルエンザではない」「インフルエンザ簡易検査で陽性ではないから薬は出せない」「一晩経ってからでないと正確な検査が出来ないから今日受診しても意味がないので明日受診するように」などと平気で言う医者がいると聞いたことがありますが、全くのナンセンスで、インフルエンザ簡易検査の仕組みと限界をしっかり理解していない医者の発言です。医療全てに言えることですが、精度100%の検査など世の中に存在しない以上、その結果を人間が総合的に判断することが必要です。そのために医師がいる訳で、検査は人間が使うものであり、検査に人間が使われてしまっては本末転倒です。いずれにせよ、インフルエンザの診断は接触歴と症状の二つによる臨床診断が基本であり、インフルエンザ簡易検査の仕組みと限界をちゃんと理解した上で、あくまで診断の補助ツールとして簡易検査を使い、その上で接触歴と症状などをしっかりと診察して医師として臨床的に診断、治療していくことが大切です。検査をするのならその検査の仕組みと限界までちゃんと理解しているかかりつけ医を持つようにしましょう。


【インフルエンザの出席停止期間】

学校保健安全法において「発症後5日経過かつ解熱後2日経過」まで出席停止基準と定められています。社会人の場合は法的に明確な基準はありませんが、学校保健安全法に準じて同様の期間を目安に二次感染防止のために自宅療養とする会社が多いです。

「発症後5日経過」かつ「解熱後2日経過」

上記の図のように両者の基準を満たすことが条件です。発症日とは発熱等のインフルエンザ症状が始まった日のことを指します。発症からの経過日は、発症日当日は含まずに発症日の次の日から発症1日経過と数えます。小学生未満、幼児の場合は、小学生以上に比べて長くウイルスを排泄するため、発症後5日経過かつ解熱後3日経過とされています。詳しくは下記ページをご覧ください。

http://d-yobousessyu.jp/influenza/protect/prt04.html

【インフルエンザ診断書】

職場によっては病休を取る際に診断書の提出を求められることがありますので、診断書が必要と言っていただければ下記のような内容の診断書を発行します。

「〇月〇日当院受診。診察(または検査)の結果、インフルエンザ(A型またはB型)感染症と診断致しました。二次感染防止のため発症5日間かつ解熱後2日間の経過を目安に自宅療養とすることが望ましいと判断致します。以下余白。」

病休から復帰する際は上記の日数の経過後はそのまま出社や登校していただいて構いません。治癒証明書などは本来特に必須ではありませんが、治癒証明書の提出がどうしても必要と言われた場合には言っていただければ治癒証明書を発行します。


【インフルエンザの治療】

インフルエンザの治療の基本は、十分な休養、水分の摂取、身体を冷やさないこと、インフルエンザ治療薬です。高熱が辛い場合には適宜解熱薬を使います。インフルエンザ治療薬の投与開始は発症48時間以内、早ければ早いほど効果が高く、遅いほど効果が低いことに注意してください。

・イナビル(ラニナミビル)、吸入タイプのインフルエンザ治療薬です。気管支に到達してインフルエンザウイルスのはたらきを抑えます。一回の吸入で治療が完了するため特に理由がない限りイナビルを使うことが多いです。

・タミフル(オセルタミビル)、内服タイプのインフルエンザ治療薬です。飲み薬でご希望の方にはタミフルをお出ししています。

・麻黄湯、寒気、関節痛等のインフルエンザ症状を和らげます。

・カロナール(アセトアミノフェン)、ロキソニン(ロキソプロフェン)、解熱薬です。より安全で小児にも使えるのはカロナール、より確実な解熱鎮痛効果があるのはロキソニンです。患者さんの年齢、背景、好みなどに応じて使います。ボルタレン(ジクロフェナク)はインフルエンザには使わないことになっています。インフルエンザは飛沫感染と接触感染ですので、二次感染予防の目的に咳止めやうがい薬などを適宜使います。

全ての薬には副作用がありますが、主治医はデメリット、メリットを総合的に考えて一人ひとりに最適な薬を処方しています。心配なことがあれば何なりと主治医またはかかりつけ薬局の薬剤師さんまでご相談ください。


【インフルエンザワクチン予防接種】

インフルエンザワクチン予防接種の効果は主にインフルエンザに掛かった場合の症状の重症化の予防です。また感染後の発症予防を期待するものであり、インフルエンザに感染すること自体の予防効果はありません。また確実に発症を100%防ぐものではありません。ですので、インフルエンザ予防接種を打ったのにインフルエンザに掛かってしまったということはしばしばあります。それでもワクチンを打たなかった場合に比べて重症にならずに済むこと、それが予防接種の効果です。インフルエンザワクチンにはA型とB型にそれぞれさらに細かい亜型があり、毎年WHOなどでその年のシーズンで流行が予想されるインフルエンザウイルスの亜型を予想し、それを受けて日本国内で国立感染症研究所などのインフルエンザの専門家がそれに対応したワクチン株の製造を決定します。去年の2015年から日本ではA型から2種類、B型から2種類、合計4種類の4価ワクチンになっています。型は予想ですので予想が合うことも外れることもありますが、一般的なインフルエンザ簡易検査ではインフルエンザウイルスがA型かB型かまでしかわからずさらに細かい亜型まではわかりません。

インフルエンザワクチン、その他インフルエンザに関する情報について詳しくは厚生労働省のページなどをご覧ください。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html


【インフルエンザ治療薬の予防投与】

インフルエンザの予防の基本は予防接種と、またインフルエンザに限ったことではありませんが、感染症予防対策の基本としてマスク、手洗い、うがいと日々の日常の体調管理です。インフルエンザワクチン予防接種の予防効果が発揮されるまでには二週間程度掛かると言われています。インフルエンザ感染者に接触してしまった、が、確実に発症を予防したいという場合に、インフルエンザ治療薬の予防投与という手段があります。インフルエンザ治療薬を予防投与というやり方で、吸入薬のイナビル、内服薬のタミフルを使うことで、インフルエンザ感染者との接触後の発症を予防することが出来ます。予防目的のため保険適応外になること、どうしても発症を予防したい場合など限られることなどいくつか注意点はありますが、インフルエンザ流行シーズンには予防投与用に院内にインフルエンザ治療薬を確保してありますので受付または主治医にご相談ください。


 

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