蛋白尿

【蛋白尿とは?】

端的に言うと蛋白尿は腎臓のSOSです。腎臓とは尿を作る臓器で、人間にとって必要の無いものを体の外に出す臓器です。一方で必要な物を出さないようにする臓器でもあります。蛋白質は人間にとって必要なものであり、尿として出ていく事はありません。『出ていくはずのない蛋白』が尿中に混じっている場合、腎臓に何らかの異常が起きている、つまり腎臓がSOSを発していると考えることが出来て精査が望ましいと考えられます。実際、蛋白尿3+の人は今後透析になる可能性が数倍に上がると言われています。

【蛋白尿の原因】

高血圧、糖尿病、肥満、喫煙などの生活習慣関連の疾患で大方を占めますが、微小変化型ネフローゼや膜性腎症などの病気が原因になっていることもあります。

【蛋白尿に対する検査】

まず問診で過去に罹った病気、高血圧、糖尿病などの有無を聴取します。詳細な採血、採尿検査で腎臓機能の評価を行い、必要に応じて超音波で腎臓の形を確認します。問診と検査の所見をみて診断をつけます。中には腎生検という専門的な検査を検討する必要があり、その際には大きな病院に紹介することもあります。

【蛋白尿に対する治療】

治療は蛋白尿が出ている原因によって変わります。高血圧、糖尿病などの生活習慣病関連の疾患である事が多く、食事指導、栄養指導、必要があれば薬物療法を行います。一方で高度な専門的な治療が必要と判断した場合は大きな病院に紹介します。

【当院での診療方針】

蛋白尿を健康診断などで指摘された場合、まず最初にその蛋白尿が本当に異常か確かめる必要性があります。というのは起立性蛋白尿といって、昼に身体を動かしている時に蛋白尿が出てしまう事がありこれは異常所見ではありません。 患者様には、夜の尿を出し切って寝てもらい、『早朝』の尿を採取して持参して頂きます。初診の際に、早朝に採った尿をペットボトルでもなんでも良いので入れて持ってきて頂ければその尿で検査を行ないます。

女性の方は尿検査をする際は、生理を避けてください。蛋白尿と共に血尿が出ていると診療するモードが変わってしまいます。本当は血尿じゃないのに、血尿と判断される事により余分な検査を受ける事になるので、生理中は尿検査を避けてください。


森維久郎(もりいくろう)

三重大学医学部卒、腎臓内科医。高血圧、糖尿病を中心とした慢性腎臓病、予防医療に従事。日常診療を行いながら、腎臓内科.comという腎臓病関連の情報発信サイトを運営する。

腎臓内科.com→https://腎臓内科.com

【メッセージ】

透析にならない腎臓医療を目指してます。尿蛋白、尿潜血、腎機能障害から腎疾患の早期発見、早期治療を心がけて診療してます。社会人でも受診できるように土曜、日曜にお茶ノ水内科で診療しております。

この記事は腎臓内科医の森医師に書いていただきました。初期の腎臓病はほとんどの場合無症状で、尿検査異常にサインが出ます。検診異常を指摘されている場合は放置しないで腎臓内科医まで相談しましょう。森医師の外来スケジュールは外来担当医のページにてご覧ください。

外来担当医→https://ochanomizunaika.com/doctors


 

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