【急性膵炎とは】
急性膵炎とは、膵臓に炎症が起きた状態です。大量飲酒、高脂肪食などが関係しています。お酒を飲んだ後に背中が少し重いくらいのごく軽症のものから、入院が必要で命に関わるものまで幅広い重症度があります。詳しくは急性膵炎診療ガイドラインをご覧ください。
→http://plaza.umin.ac.jp/jaem/pdf/suienguideline2015.pdf
→http://www.nanbyou.or.jp/entry/119
【急性膵炎の原因】
二大原因はアルコール性または胆石と言われています。他のリスク因子としては、中性脂肪高値、喫煙、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatoraphy: ERCP)検査後、膵胆管合流異常、膵管周囲の悪性腫瘍、外傷性、特発性があります。
【急性膵炎の症状】
胆石や脂質異常症のある人が大量の飲酒後、数時間後に急激が上腹部痛、背部痛、吐気が出現するのが典型的な急性膵炎の症状です。重症度は幅広く、重症急性膵炎と言ってショック状態を起こし入院が必要なものから、飲み過ぎた後に多少背中が重い感じがするくらいのごく軽症なものまであります。
【急性膵炎の診断】
大量飲酒後に急激な上腹部痛、背部痛を認める場合、急性膵炎を疑います。採血にて膵酵素、リパーゼやアミラーゼの上昇を認めること、腹部エコー、腹部CT、可能であれば重症度判定のためには腹部造影CTを行います。
【急性膵炎の治療】
簡単に言うと、膵臓への負担を避けて、膵臓を休ませるのが治療のメインです。ごく軽症の急性膵炎の除いて、原則入院が必要です。一部ごく軽症の急性膵炎は、しばらくアルコール、高脂肪食、高たんぱく食を控えて、安静で軽快が期待出来ます。入院治療では、まずは重症度の判定を行い、絶食、輸液、鎮痛薬、重症度に応じて蛋白分解酵素阻害薬の投与、必要に応じて抗菌薬の投与、胆石性の急性膵炎に対して内視鏡的に胆石の除去、ショック状態の場合は呼吸循環に対する治療、です。
【急性膵炎の予防】
急性膵炎のリスク因子、アルコール、胆石、中性脂肪高値、喫煙などは生活習慣の改善でリスクを下げることが可能です。飲み過ぎない、油ものを食べ過ぎないようにしましょう。喫煙も急性膵炎のリスクであり、さらに膵癌等のリスクでもありますので、禁煙しましょう。
【内分泌と外分泌】
膵臓は内分泌と外分泌を行っています。内分泌(Endocrine)とはホルモン生成、血液中にホルモンを分泌する機能のことです。膵臓は、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、などを分泌し、主に血糖の調整に関わっています。外分泌(Exocrine)とは体外、消化管に分泌液を分泌する機能です。膵臓は消化管に膵液、アミラーゼ、リパーゼ、キモトリプシン、重炭酸などの膵酵素を分泌しています。正確には、消化酵素の前駆体を分泌し、消化管内のペプチダーゼ等により活性を持つ消化酵素になります。急性膵炎では、何らかの原因で膵臓内にて膵液が活性化してしまうことによって、膵臓の自己消化が起きてしまう状態です。