アレルギー検査

tukunou

【アレルギーとは】

アレルギーとは、免疫反応を起こさなくてもよいものに対して免疫反応が起こっている状態です。人体には免疫という仕組みがあり、自己と非自己を区別し、細菌やウイルスなどの有害なものに対して認識、攻撃、排除する免疫反応という仕組みがあります。花粉や食べ物など人体に無害なもの、攻撃しなくてもよいものに対しても免疫反応が起こってしまうのがアレルギーです。アレルギーにはいくつか種類があり、主にIgEという抗体が関与する即時型アレルギー、主に細胞性免疫が関与する遅延型アレルギーの二種類があります。その他に、細胞傷害型アレルギー、免疫複合体型アレルギーなどがありますが、アレルギー症状というよりは自己免疫疾患の症状などいわゆるアレルギーっぽくない症状が目立つことが多いため、一般的にアレルギー症状と言った場合は、即時型アレルギー、または遅延型アレルギーを指すことが多いです。またアレルギー反応ではないもののアレルギー反応のような症状を引き起こすものとして仮性アレルギーというものもあります。以下詳しく説明します。

【アレルギー検査】

特異的IgE検査、非特異的IgE検査、パッチテスト、その他の血球検査、特異的IgG検査、特異的IgA検査、などがあります。アレルギー関係の検査には他には、ブリックテスト、ヒスタミン遊離試験、食物負荷試験、食物除去試験、など様々なアレルギー検査がありますが、詳しくはアレルギー専門医の領域になりますので割愛します。

・特異的IgE検査

主に即時型アレルギーを調べる検査です。血液検査で即時型アレルギーの原因である特異的IgEという抗体を調べます。陽性か陰性かアレルギーの有無と、陽性の場合はその程度がわかります。お茶の水内科では、代表的なアレルギー39項目をセットで調べる「View 39」という検査、同じく代表的なアレルギー36項目をセット調べる「MAST 36」という検査、セットではなく個別に調べる特異的IgEアレルゲン検査、などがあります。具体的な検査項目は以下の通りですのでご覧ください。どの検査がいいかわからないという方は、まずはView 39検査で全体的に代表的なアレルギーを調べておいて、もしそれ以外で追加で調べたいもの、疑わしいものがあったら特異的IgEアレルゲン一覧表から必要なものを適宜追加していくというスタイルでいいと思います。

View 39検査項目一覧(クリックで拡大)

view39

MAST 36検査項目一覧(クリニックで拡大)

mast36

特異的IgEアレルゲン一覧表(クリニックで拡大)

allergens

検査費は保険適応の場合3割負担で約6000円です。全く症状がなかったり、ただ興味本位でアレルギーを調べたいという場合、検査は可能ですが、保険適応外(自費で約18000円)になりますのでご注意ください。特異的IgEアレルゲン一覧表から追加する場合は一項目につき自費で500円(税込)でお茶の水内科では検査可能です。自費の場合、検査項目数に特に上限はありません。自然界の全てのものに対して検査試薬が作られている訳ではなく、全く合致するものがない場合は近いもの、植物の場合は科が同じものなので適宜代替します。わからない場合は主治医または受付までご相談ください。

・非特異的IgE

上記の特異的IgEが特定の物質に対するアレルギー反応の有無を調べる検査であるのに対し、非特異的IgEは特定の原因によらず今アレルギー反応を起こしているかどうかを調べる検査です。特異的とは何か特定の、という意味で、非特異的とは何か特定のものではなく全体の、という意味です。非特異的IgEと特異的IgEとを組み合わせることによって、今アレルギー反応が起こっているかどうか(非特異的IgEが上昇しているかどうか)、その原因が何か(特異的IgE検査で何が陽性と出るか)と調べていくのに有用です。

・パッチテスト

皮膚炎、皮膚のかぶれの原因として皮膚に接触する化学物質、日用品、化粧品、薬剤、金属、食物などのアレルギーが関係していることがあります。お茶の水内科では、接触性皮膚炎の原因を24項目を調べられる「パッチテストパネル」という検査があります。上記、皮膚症状が強く、何らかの接触性皮膚炎が疑われる場合、特異的アレルギー反応でよくわからなかった場合などに行います。

パッチテストパネル検査項目一覧

patch30

・その他の血液検査

血液検査で白血球の中の好酸球や好塩基球などがアレルギーに関係して増多が認められることもあります。血球はアレルギー以外の他の要因の影響もあるのでそれだけではハッキリしないこともありますが、顕著な好酸球増多が認められる場合はアレルギー性の疑いが強くなります。痒み症状等を引き起こす他の疾患を除外するために、CRP、血沈、補体、肝機能、腎機能、甲状腺機能、血糖などの項目も適宜必要に応じて調べていくこともあります。

・特異的IgG検査、特異的IgA検査

即時型アレルギーは主に関与しているのはIgEという免疫グロブリンですが、人によってはIgGやIgAという免疫グロブリンが関わっていることもあると言われています。IgGはどちらかというと即時型というよりは遅延型に近く慢性的なアレルギー、IgAは主に腸管免疫に関わっており、食べ物関係のアレルギーに関係している傾向があると言われていますが、検査してみないと何とも言えません。保険適応外で数万円掛かってしまうのが欠点です。上記のIgE検査などで、ハッキリと原因がわからなく、どうしても何らかの原因を突き止めたい場合などに行います。

特異的IgG検査特異的IgA検査

お茶の水内科では、取り寄せになってしまいますがご要望があれば検査は可能です。


【仮性アレルゲン】

仮性アレルゲンとは、アレルギー反応ではないけれど、食べ物の中に含まれる成分によってアレルギーのような症状が引き起こされることを言います。ヒスタミンやセロトニンは痒みを引き起こす作用などがあります。様々な食物とその中に含まれる化学物質が仮性アレルゲンの要因となります。上記の特異的IgE、特異的IgG、特異的IgAが全て陰性であることが特徴です。仮性アレルゲンを引き起こしやすいと知られている食べ物は以下のようにある程度わかっています。

・ヒスタミン:チーズ、赤ワイン、サバ、イワシ、カツオ、マグロ、トマト、ナス、ほうれん草、とうもろこし、キノコ、味噌、醤油などの発酵食品、など

・ヒスチジン:サバ、マグロ、カツオ、ブリ、サンマ、イワシ、アジ、

・セロトニン:キウイ、パイナップル、バナナ、トマト、キュウリ、メロン、アボガド、など

・アセチルコリン:ピーナッツ、ソバ、サトイモ、ヤマイモ、キノコ、など

・チラミン:チーズ、ワイン、チョコレート、アボガド、バナナ、など

・フェニルチラミン:チーズ、赤ワイン、チョコレート、など

・トリメチールアミン:エビ、カニ、イカ、タコ、アサリ、ハマグリ、など

・サリチル酸、安息香酸:様々な食品添加物、イチゴ、トマト、オレンジ、パイナップル、ブドウ、など

仮性アレルゲンは、大量に摂取したときに症状は強く起こること、症状は毎回起こる訳ではないこと、などが特徴です。人によっても個人差が大きく、全く何も症状が起こらない人もいますし、症状が起こりやすい人もいます。同じ人でも、食べる量、その時の体調、気温、アルコールとの併用、などによっても症状が出やすかったり出にくかったりします。仮性アレルゲンの診断のための検査はありません。上記の特異的アレルゲン検査が陰性であること、特定の食べ物を食べた後に症状が出て、特定の食べ物を避けると症状が出ない、などの状況から推測、診断していくしかありません。はっきりと原因を特定出来ないことも少なくありません。日常的に食べる食べ物のほとんどに程度の差はあれ仮性アレルゲンに関係する成分は含まれているので完全に除去することは現実的ではありません、食事制限などは特にする必要はないと言われています。仮性アレルゲンというものがあることを知っておくこと、怪しいものは食べ過ぎないように注意する、鮮度の悪いほうが仮性アレルゲンの原因物質が多い傾向にあると言われますので新鮮なうちに食べること、生よりも加熱したほうが起こりにくいとも言われていますので加熱する、くらいの心掛けで構いません。


 

PAGETOP