熱中症

【熱中症とは】

熱中症とは、「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称」と日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン」で定義されています。夏場、炎天下でのスポーツ、屋外作業、クーラーを付けないで屋内でも熱中症を起こすリスクはあります。詳しくは日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン」をご覧ください。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/heatstroke2015.pdf

【熱中症の症状】

日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン」によると、気温が高い、湿度が高い、風が弱い、日射が強いなどの暑熱環境にいる、あるいはいた後に、症状として、めまい、失神、立ちくらみ、生あくび、大量の発汗、強い口渇感、筋肉痛、筋肉の硬直、こむら返り、頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感、意識障害、痙攣、せん妄、小脳失調、高体温等の諸症状を呈するもので、感染症や悪性症候群による中枢性高体温、甲状腺クリーゼ等、他の原因疾患を除外したもの、を熱中症と診断します。ですので、熱中症かどうかを診断する検査というのはありません。状況と症状から臨床的に診断します。

【熱中症の重症度分類】

重症度は以前は、熱失神(Heat Syncope)、熱痙攣(Heat Cramps)、熱疲労(Heat Exhaustion)、熱射病(Heat Stroke)などと分類していたこともありましたが、現在は、I度熱中症、II度熱中症、III度熱中症の三段階の「日本救急医学会熱中症分類」にて重症度分類を行います。Ⅰ度は現場にて対処可能な病態、Ⅱ度は速やかに医療機関への受診が必要な病態、Ⅲ度は採血、医療者による判断により入院(場合により集中治療)が必要な病態です。

【熱中症の治療】

熱中症の治療の基本は、水分補給、安静、冷却です。水分補給は、経口補水液(Oral Rehydration Solution: ORS)と言って、塩分と水分の両者を適切に含んだもの(0.1~0.2%の食塩水)が推奨されておいます。現実的には市販の経口補水液で十分でしょう。スポーツ飲料、清涼飲料水は糖分が過剰になりがちであるので注意です。意識がはっきりしていて、経口で水分摂取が可能であれば輸液は不要です。涼しい場所で十分に安静、水分補給のみで自然軽快します。III度熱中症では医療機関にて輸液、入院、体温、呼吸、循環、利尿管理などが必要になることもあります。

【熱中症の予防】

日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針」、日本体育協会「熱中症予防のための運動指針」によると、暑さ指数(WBGT: Wet Bulb Globe Temperature)、乾球温度を基準に、気温24度以上を「注意」、気温28度以上を「警戒」、気温31度以上を「厳重警戒」、気温35度以上を「危険」として、注意を呼びかけています。熱中症予防のためには、積極的に水分補給を取ること、積極的に休憩を取ること、激しい運動を控えること、などが重要です。

【夏バテ】

熱中症の特効薬はありませんが、夏場の体調不良に対して、様々な漢方の処方があります。エビデンスはあまりありませんが、夏場の体調不良に対してよく使います。

・清暑益気湯(せいしょえきとう)

文字通り、夏バテの漢方です。身体から熱を取り、気力、体力を補います。夏場で汗だらだらで脱水気味で体調不良の場合などによいでしょう。

・補中益気湯(ほちゅうえきとう)

気力、体力を補う補剤と呼ばれる漢方処方です。季節を問わずに広く使えます。夏場でクーラーで冷え過ぎて体調不良などによいでしょう。食欲不振、胃腸の調子に対しては六君子湯(りっくんしとう)もよいでしょう。

・五苓散(ごれいさん)

水のバランスを整える利水薬という漢方です。水のバランスが関係している様々な症状に使います。

全ての薬には副作用がありますが、主治医はデメリット、メリットを総合的に考えて一人ひとりに最適な薬を処方しています。心配なことがあれば何なりと主治医またはかかりつけ薬局の薬剤師さんまでご相談ください。


 

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