片頭痛

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【片頭痛とは】

片頭痛とは、慢性的な頭痛の原因の一つです。こめかみから側頭部に掛けて頭の片側または両側が、ズキンズキンと脈を打つような頭痛で、多くの場合吐気を伴い、人によっては視覚、聴覚、嗅覚の変化などを伴い、暗く静かな部屋でずっと休んでいたいような頭痛であることが特徴です。男性20代~30代、女性30代~40代が多いと言われていますが、10代から症状があることは珍しくありません。片頭痛という名前は本来、頭の片側のみの痛みという意味ですが、実は片頭痛の頭痛は両側性のことも多いことがわかっています。片頭痛の前兆として閃輝暗点(せんきあんてん)と呼ばれる視界がギザギザ、チカチカする、視野の一部が欠けるなどの視覚症状の前兆を伴うことは有名ですが、前兆を伴わない片頭痛のほうが実は多いです。明らかな前兆を伴わない片頭痛でも、なんとなく気分が優れない、だるい、眠気、浮腫み、なんとなく音や光の感じ方がいつもと違う、無性に甘いものが食べたくなる、など、なんとなくこれから片頭痛が来そうな感じ、何らかの予兆が認められる場合が多いと言われています。

【片頭痛の診断】

国際頭痛分類第3版β版(ICHD-3β)という世界共通の診断基準に従って診断します。典型的な前兆(Aura)を伴うものと伴わないものに分類されます。診断基準のいくつか要点をご紹介します。

・頭痛発作を5回以上繰り返していること

・頭痛の持続時間は4~72時間

・片側性、拍動性、中等度から重度の頭痛、歩行や階段昇降などの日常的な動作により頭痛が増悪する、あるいは頭痛のために日常的な動作を避ける。

・頭痛発作中、悪心または嘔吐、光過敏および音過敏がある。

・その他の疾患による頭痛ではないこと

片頭痛に特徴的な症状を以前から頭痛を繰り返している場合には診断は難しくありませんが、初めての症状の場合、片頭痛以外の頭痛の可能性も含めて原因を検査を進めて行きます。明らかな脳神経症状、目の動き、耳の聞こえ方、顔の動きや感じ方、喋り方、手足の感覚や運動、歩き方、一つも異常を認めない場合は脳の詳しい検査は必須ではありませんが、必要に応じて頭部CT、頭部MRIなどで脳に異常がないことを確認します。片頭痛は、典型的な片頭痛から様々な亜型の片頭痛があり、正確な診断が必要な場合には一度神経内科、頭痛専門医に紹介で詳しく診てもらっています。

【片頭痛の治療】

片頭痛の治療は片頭痛発作時の治療と、片頭痛発作の予防と二つに大きく分かれます。片頭痛の原因としては血管の急激な拡張が関係していると言われており、片頭痛治療薬は血管の急激な拡張を押さえ、片頭痛発作の症状を和らげます。

・イミグラン(スマトリプタン)、マクサルト(リザトリプタン)、アマージ(ナラトリプタン)、ゾーミック(ゾルミトリプタン)、レルパックス(エレトリプタン)、トリプタン系と呼ばれる片頭痛治療薬です。内服のタイミングとして、片頭痛発作が始める前、発作の予兆期、前兆期に内服することが重要で、薬剤師さんからの服薬指導を守りましょう。イミグラン(スマトリプタン)には点鼻液や自己注射薬もあります。片頭痛に有効性の高い薬ですが薬価がやや高いのが玉にキズです。

・カロナール(アセトアミノフェン)、ロキソニン(ロキソプロフェン)、ナイキサン(ナプロキセン)、消炎鎮痛薬で、頭痛薬としても使います。軽度の片頭痛で、ロキソニンで十分頭痛が収まるようであれば頓服で使っていただいて構いません。注意点として、慢性的に月に10日以上頭痛薬を使う場合は、頭痛薬の使い過ぎによる頭痛、薬物乱用性頭痛というタイプの頭痛になるリスクがありますので使い過ぎには注意です。その場合、トリプタンへの切り替え、片頭痛の予防療法を検討します。

・クリアミン(エルゴタミン)、エルゴタミン系の片頭痛治療薬です。

・ナウゼリン(ドンペリドン)、プリンペラン(メトクロプラミド)、制吐薬です。片頭痛発作時の辛い吐気症状に対して使います。

【片頭痛の予防】

片頭痛には様々な誘発因子があります。誘発要因を避けることで片頭痛発作の頻度や重症度を軽減することが出来ます。個人差も大きいのですが、片頭痛の誘発要因として有名なものには以下のようなものがあります。チョコレート、赤ワイン、チーズ、お酒の飲み過ぎ、カフェインの摂り過ぎ、喫煙、寝不足、寝過ぎ、生理前、ストレス、緊張、急激な気温の変化、急激な気圧の変化、頻回の旅行や出張、光刺激、音刺激、臭い刺激、などが関係している場合が多いようです。片頭痛発作の頻度が多い場合、片頭痛治療薬の効果が不十分な場合、頭痛薬の使用頻度が多く薬物乱用性頭痛のリスクが高い場合、片頭痛予防療法を考慮します。

・ミグシス(ロメリジン)、ワソラン(ベラパミル)、インデラル(プロプラノロール)、呉茱萸湯(ごしゆとう)、五苓散(ごれいさん)、デパケン(バルプロ酸)、トリプタノール(アミトリプチリン)、他

片頭痛予防療法の効果は個人差の部分も大きく、片頭痛発作の頻度をゼロになるのではなく、少しでも軽減するのがゴールです。2、3ヶ月掛けて継続し効果判定を行います。併用注意のものや、妊娠中に使用出来ないもの、保険適応外のもの、いくつか注意点がありますので、患者さんと相談しつつ一人一人合ったものを見付けて行きます。

全ての薬には副作用がありますが、主治医はデメリット、メリットを総合的に考えて一人ひとりに最適な薬を処方しています。心配なことがあれば何なりと主治医またはかかりつけ薬局の薬剤師さんまでご相談ください。


 

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