【睡眠時無呼吸症候群とは】
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が停止したり呼吸が低下したりする病気です。夜間の正常な睡眠が障害されるため、日中の眠気、集中力低下で居眠り運転や交通事故の原因、仕事や勉強に支障を来たすだけでなく、睡眠中の低酸素状態が脳や心臓に負担を掛けるため、高血圧症、糖尿病、狭心症、心筋梗塞、様々な不整脈、脳卒中、など循環器病の悪化要因になります。いびき、日中の眠気を自覚していたら、まずは睡眠時無呼吸症候群の検査を受けましょう。詳しくは国立循環器病研究センター、睡眠時無呼吸症候群治療機器メーカーの帝人のサイトをご覧ください。
→http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/general/pamph101.html
【睡眠時無呼吸症候群の検査】
睡眠時無呼吸症候群の検査はまずは自宅で検査機器を一晩装着して調べる検査、簡易無呼吸検査にて睡眠中の呼吸状態を調べて行きます。睡眠中に呼吸が10間以上停止していることを無呼吸、呼吸停止までは至っていないけれど呼吸が弱い状態を低呼吸といい、一時間あたりの無呼吸と低呼吸の合計回数、無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index:AHI)を測定します。
AHIの正常範囲は0から5未満です。AHI 5以上で睡眠呼吸障害(Sleep Disordered Breathing: SDB)、AHI 15以上で睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)と診断します。AHI 40以上で重症と診断です。睡眠時無呼吸症候群の原因として、多くは気道のどこかが閉塞して無呼吸が発生する閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome: O-SAS)と、脳からの呼吸の命令に障害がある中枢性睡眠時無呼吸症候群(Central Sleep Apnea Syndrome: C-SAS)、両者の混合型があります。簡易無呼吸検査で無呼吸ありと判断された場合、閉塞性か中枢性かの診断、睡眠時無呼吸症候群専門の医療機関にて一泊のさらに詳しい検査の「終夜睡眠ポリソムノグラフィー(Overnight Sleep Polysomnography: PSG)」を進めて行きます。
睡眠時無呼吸症候群は非常に多い疾患で、症状は睡眠中に起こるため、本人の自覚があまりないことも多く、一人暮らしや単身赴任ですと見逃されていることが少なくありません。日本人の場合はもともと顎の骨格が小さいなど気道が閉塞しやい場合が多く、肥満体型の方だけではなく、痩せ型体型の方でも睡眠時無呼吸症候群を隠れていることがあります。重症の睡眠時無呼吸症候群は、狭心症や心筋梗塞、不整脈、脳卒中なども多いことがわかっていますので、いびきや日中の眠気を自覚していたら放置せずに検査、治療を行いましょう。
【睡眠時無呼吸症候群の治療】
睡眠時無呼吸症候群の治療は主に睡眠時無呼吸症候群の専門医療機関にて行います。幸い、都内には睡眠時無呼吸症候群専門の医療機関が多数ありますので、自宅近く、職場近く、通勤路等で定期的な通院が可能なところを見付けましょう。
睡眠時無呼吸症候群の治療法にはいくつか選択肢があります。
・持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure: CPAP)、呼吸器治療
・口腔内装置(Oral Appliance: OA)、マウスピース治療
・体重増加が見られる場合は減量、寝る姿勢、まくらや寝具の工夫、寝る前の大量の飲酒を避ける、喫煙による気道炎症や浮腫を避ける、などの生活習慣の改善
・通常あまり適応になることは少ないですが、手術療法
・エビデンスはないものの市販品で鼻腔を開くテープなど
通常CPAPの治療が可能であればCPAPを行います。治療を行うにつれて、日中の眠気、集中力低下などの自覚症状は改善します。高血圧症、不整脈、肩こりや首のこり、など睡眠時無呼吸症候群に関連した合併症も次第に改善していくることが多いです。CPAPは最初は抵抗感がある方がほとんどですが、多くの場合は続けていると次第に慣れて来ますので、頑張って継続してみましょう。お茶の水内科では治療が必要と考えられる睡眠時無呼吸症候群が見付かった場合、睡眠時無呼吸症候群専門の医療機関へ紹介して治療をしてもらっています。いびきや日中の眠気を自覚している場合、まずは検査からやって行きますので受付または主治医までご相談ください。