膀胱炎

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【膀胱炎とは】

膀胱炎(ぼうこうえん)とは膀胱に細菌感染を起こした状態です。頻尿、排尿時痛、残尿感の3つが膀胱炎に特徴的な症状です。肉眼的にもハッキリと血尿、膿尿が認められることも多いです。下腹部の違和感、尿の性状や臭いの変化、トイレが少し近くなったかも、など漠然とした症状のこともあります。軽度の膀胱炎は自然と治ることも多いですが、膀胱炎の原因菌は大腸菌を始めとする細菌感染症であることが多く、有効な抗菌薬にて治療が必要です。人によっては膀胱炎を繰り返しやすい人もいます。

【膀胱炎の診断】

主に尿検査にて診断します。尿検査にて尿中白血球、尿潜血などの感染症の所見を認めれば尿路感染症と診断されます。悪寒や発熱等の全身症状が伴っていて、背中の肋骨の下と腰椎のあたりに左右に腎臓がありますが、そこを叩いて痛みがあれば腎盂腎炎(じんうじんえん)、発熱がなく叩打痛もない場合は膀胱炎と診断して行きます。感染症の所見がなく血尿のみで突然発症の痛みを伴う場合は尿路結石などを疑い、痛みがなく慢性的に血尿が続く場合は尿路の悪性腫瘍、蛋白尿や尿糖など尿所見を認める場合は他の腎疾患などを疑い、泌尿器科や腎臓内科などで詳しく検査を進めていきます。血尿ではなく不正出血で婦人科系の臓器の異常を疑う場合は婦人科などそれぞれ適切な専門科にて調べてもらってます。尿路感染症を繰り返す場合も尿路感染症を繰り返すような基礎疾患がないかと泌尿器科にて精査をお願いしています。

【膀胱炎の治療】

膀胱炎の治療は膀胱炎の原因菌に対して有効な抗菌薬による治療です。大腸菌を始めとする腸内細菌が原因の主な原因菌であると言われており、まずは大腸菌をターゲットに抗菌薬を使います。一般的に1日から2日程度で効き始め、3日から5日で治ります。なかなか治らない膀胱炎の場合、耐性菌、性感染症などの特殊な原因菌を疑って適宜原因菌の特定の検査を追加したりします。

・クラビット(レボフロキサシン)、膀胱炎によく使われる抗菌薬です。耐性菌の増加も言われていますが、毎回ちゃんと治っていればOKです。尿路に移行して抗菌作用を発揮するので、水分を多く摂取して、おしっこを我慢しないようにしましょう。

・フロモックス(セフカペンピボキシル)、シプロキサン(シプロフロキサシン)、バクタ(スルファメトキサゾール、トリメトプリム)、こちらの処方を好む人もいます。

・グレースビット(シタフロキサシン)、アベロックス(モキシフロキサシン)、新し目のニューキノロン系抗菌薬です。新しい抗菌薬はイザという時のためになるべく使わずに残しておきたいのですが、上記抗菌薬がどうしても効かない場合などに耐性菌に注意しつつ使います。

【膀胱炎の予防】

膀胱炎は何らかの理由で膀胱に細菌感染を起こすことが原因です。主に陰部周辺の常在菌である大腸菌などが原因菌と言われています。膀胱内に多少の雑菌が入ることがあっても、排尿とともに流し切れば膀胱炎までにならないと言われています。ですので、水分を多めに摂る習慣、おしっこを我慢し過ぎない、陰部を清潔に保つ、排便後は前から後ろに拭く、性交後はおしっこをしたり陰部を洗うようにする、生理中は適宜ナプキンを取り替える、下腹部を冷やさないようにする、などの膀胱炎を起こさないようにする習慣が大切です。水分をたくさん摂取することは膀胱炎の予防だけでなく、膀胱内の細菌を尿と一緒に流し切ることは膀胱炎の治療としても重要です。膀胱炎を繰り返す場合に、猪苓湯(ちょれいとう)、五淋散(ごりんさん)、五苓散(ごれいさん)などが効果がある場合があります。

全ての薬には副作用がありますが、主治医はデメリット、メリットを総合的に考えて一人ひとりに最適な薬を処方しています。心配なことがあれば何なりと主治医またはかかりつけ薬局の薬剤師さんまでご相談ください。


 

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